少し間を置いて、景山大旦那様は続けて言った。「既婚者についてだが、景山瑞樹は彼女の結婚生活を壊すようなことはしない。ただ、もしその娘が幸せでないなら...私は絶対に景山瑞樹が彼女を追いかけることを支持する。」
景山お母さんはそれを聞いて躊躇し、思わず反論した。「お父さん、それでも、その村上念美は再婚ですよ。」
「ふん、再婚がどうした?再婚でもお前の息子にはもったいないくらいだ。それに言っておくが、再婚だからといって、彼が村上念美を追いかけられるとは限らないぞ。」
景山お母さんは少し信じられない様子で、大旦那様がそんなことを言うとは思ってもみなかった。
傍らにいた景山お父さんは、大旦那様の決意を見て、急いで口を開いた。「お父さん、あなたは人を見る目がありますから、もし本当にあの娘が良いと思われるなら、私たちも景山瑞樹を支持します。」
「うむ、それでこそ...」
景山大旦那様は満足した。実は、景山瑞樹が村上念美を追いかけられるかどうかに関わらず、あの娘のことは見れば見るほど気に入っていた。
景山瑞樹は口元を緩め、思いもよらなかった...この村上念美が偶然にも、大旦那様に認められたのだ。
この世界で、大旦那様に認められる人はそう多くない。
藤原景裕はその一人だが、村上念美は二人目と言えるだろうか?
...
景山瑞樹は朝食を終え、会社に行こうとしていた時、大旦那様が彼を脇に呼び、こう忠告した。「あの時の事件の証拠と証人を見つけて、彼女にきちんと説明するんだぞ、わかるか?彼女に誤解させるな。」
「おじいちゃん、ご安心ください。」
「うむ、これはキッチンに頼んで作らせたイチゴのお菓子だ。会社に持っていって食べなさい。仕事中にお腹が空いたらどうするんだ?」
そう言って、大旦那様は手に持っていた箱を渡した。
「おじいちゃん...僕はもう子供じゃないですよ。」
「お前のその妖艶な様子じゃ、男らしくもないがな...」
景山瑞樹:「...」
景山瑞樹は口元を引きつらせながら、大旦那様からイチゴケーキを受け取り、車で颯爽と去っていった。
景山大旦那様は満足げな表情を浮かべていた。
景山お父さんは思わず感慨深げに言った。「お父さん、あなたは彼を甘やかしすぎですよ...」
「そんなことはない...捨てて犬にでもやれば、もったいないだけだ。」