089 真の夫婦【購読お願い】_5

幕が次々と...

睡眠薬を飲んで意識が朦朧としていた状態でも、正確に思い出すことができる。

おそらく藤原景裕が無理やり目を開けさせて彼を見るように強いたからだろう...

彼だと分かって...

ああ、なんて奇妙な感覚が心を満たしているのだろう。村上念美は藤原景裕にどう向き合えばいいのか分からなかった。

とても気まずい。

...

村上念美は慎重に起き上がり、男の薄手のシャツを手に取って身に着けた。不思議と階下には降りず、屋根裏部屋へと向かった。

屋根裏のカーペットはすでに新しいものに交換されていた。

村上念美の小さな顔は恥ずかしさで真っ赤になり、小さな手で髪をぐしゃぐしゃと撫でながら、少しずつ感情を落ち着かせようとした。これから藤原景裕に会うことを考えると、全身が抑えきれないほど震えた。

村上念美が階下に戻ろうと振り向く前に、男の腕が力強く腰に回され、抱きしめられた。

「ずっと探していたよ。やっとここにいるのを見つけた」

村上念美:「...」

藤原景裕だった。

村上念美の顔が少し青ざめた。実際、今藤原景裕に抱きしめられているのにまだ慣れておらず、心臓の鼓動を抑えるのに必死だった。

「私...」

「メリークリスマス」

藤原景裕の低い声が耳元で響き、村上念美は意志の弱さを感じながら再び顔を赤らめた。

そうだ、クリスマス...自分と藤原景裕は三年もの間、一緒にクリスマスを過ごしていなかった。

村上念美はうなずき、小さな声で言った。「メリークリスマス。ごめんなさい、プレゼントを用意していなかった」

「以前から、君はプレゼントを用意する習慣はなかったよ」

男にそう言われ、村上念美は顔を赤らめた。

そうね。

確かにそうだった...

村上念美は元々プレゼントをもらうのが大好きだったが、プレゼントを用意する習慣はなかった。小さな作文を書く以外は。

「女性にプレゼントを贈るのは男の務めだ」

藤原景裕の言葉は低く、男のいつもの冷淡な性格そのままだった。村上念美は心が動き、男の抱擁に浸りたいと思いながらも、彼の腕から抜け出そうともがいた。

「お腹すいた...朝ご飯が食べたい」

「ああ、もう用意してある」

「いつ起きたの?」

「朝の8時だ」