091 藤原景裕の深情_2

「一緒に行くよ。」

「うん。」

村上念美は鼻をくんくんさせ、心の中で信じられないほど温かくなった。男性に甘やかされるというのは、こんなにも幸せな味わいなのだろう。

おそらく、昨夜は二人にとって突破口だったのだろう。二人は膠着状態を打破し、関係は一歩一歩と静かに近づいていた。

...

景山家:

景山大旦那様は村上念美への電話を切り、酔いつぶれて意識のない景山瑞樹を見て、目を細めて言った。

「酔っ払っている以外に問題はあるのか?」

景山家の専属医師である田中医師は大旦那様のこの言葉を聞いて、すぐに口を開いた。「問題ありません、大旦那様。景山様はただ酔っているだけで、意識がやや朦朧としているだけです...」

「ふむ、熱は出ていないのか?」

「えっと...それは全くありません。」

田中医師は期待に満ちた様子の景山大旦那様を見て、とても驚いた。

この大旦那様はなぜ突然、孫が熱を出すことを望んでいるのだろう?

「これは困ったな...執事、こっちに来なさい。」

景山大旦那様は手を上げて執事を呼び寄せ、それから咳払いをした。

「人を手配して彼をバスルームに連れて行き、冷水シャワーを浴びさせなさい...そして、熱が出て風邪をひき、体温が正常でなくなったら、ベッドに戻しなさい。ただし、やりすぎて肺炎や命に関わるようなことにはならないようにな。」

執事:「...」

何だって?

執事は完全に呆然としていて、自分が聞き間違えたのではないかと思った。

大旦那様は冗談を言っているのだろうか?

何の問題もないのに、わざわざ景山瑞樹を病気にさせようとしているなんて。

...

執事が躊躇しているのを見て、景山大旦那様はすぐに叱責した。「何をぼんやりしているんだ、念美がもうすぐ戻ってくるぞ...時間がないんだ。」

「は...はい...」

執事は怠ることができず、すぐに人を手配して、まだ酔っ払って朦朧としている景山瑞樹をバスルームに引きずり込み、冷水で洗い流した。

景山瑞樹は眉をひそめて不快そうに抵抗していた。大旦那様は心中穏やかではなかったが、それでも心を鬼にする必要があった。

これは良いチャンスだ。

いわゆる孫の嫁を守る戦いとは...条件を作り出すことだ。