091 藤原景裕の深情_3

景山大旦那様はゆっくりとこの事実を消化していた。なるほど、景山瑞樹が立ち直れないのも無理はない。自分にとっても衝撃的なことだ。

「うん、彼に会いに行ってくる」

そう言うと、村上念美は美しい瞳で隣の藤原景裕を見つめ、優しい声で言った。「すぐに戻るわ」

「わかった」

藤原景裕は女性の瞳にまだ不安が残っているのを見て、自ら大きな手を伸ばし村上念美の肩を軽くたたいて、彼女の感情を落ち着かせた。

村上念美は藤原景裕の慰めで、不安な気持ちが少し和らいだ。

実は藤原景裕に一緒に二階へ行って景山瑞樹を見舞うよう誘わなかったのは、景山瑞樹にさらなる衝撃を与えることを心配したからだ。

...

景山大旦那様は村上念美が階段を上がった後、手すりを頼りにソファに座り、目の前の藤原景裕を見つめて冷たく言った。「お前...お前という若者は、本当に私に大きな驚きを与えてくれたな。昨夜は瑞樹もさぞ驚いただろう」

藤原景裕は薄い唇を上げ、景山大旦那様の非難を聞きながら、淡々と言った。「申し訳ありません」

「ふん、言ってみろ、今日ここに来たのは私に警告するためだろう...」

「そんな大それたことは」

藤原景裕は黒い瞳を細め、事実をありのままに言った。「景山瑞樹が彼女に対してどう思っているか知っています...良識ある競争なら歓迎します。結局は私の妻に人気があるということですから」

「ふん...私の孫嫁を守る戦いはもう始まっているというのに、藤原家の小僧、お前は私を不意打ちしたな。だめだ、藤原じいさんに賠償を求めなければ...」

「はっきり言ってくれ、あの時食卓で、瑞樹が人妻に惚れたと言った時、お前はそれが村上念美だと知っていたのか?」

景山大旦那様はとても賢く、当然物事を整理して真相を明らかにする。

藤原景裕は隠すつもりはなく、薄い唇を引き締めて言った。「当時は推測に過ぎず、確信はありませんでした。祖父から村上氏に接触したと聞いて、初めて村上念美だと確信しました」

「申し訳ありません、祖父も貴方に隠すつもりはなかったのです。ただ、この件は言っても言わなくても互いに気まずい話で、彼もこの機会に私にプレッシャーをかけ、危機意識を持たせようとしたのです」

「ふん、藤原じいさんは頭がいいな。自分の古い戦友に目をつけるとは、私...私は腹が立って...」