「彼女たちが法的制裁を受けるのを見なければ満足できない、この間に私は弁護士の資格も取得したわ」
村上念美は心中複雑な思いだった。これもまた何とも苦しいことだ。
実際...心の魔を抱える人間は、自分だけではないのだ。
「うん」
村上念美は相馬紗奈とさらに日常の些事について話した後、電話を切った。
シアトルでの唯一の新しい友人として、相馬紗奈は自分にあまりにも多くの温もりを与えてくれた。
相馬紗奈の慰めで、村上念美の少し焦っていた心は落ち着いた。テーブルの上の固定電話が鳴り、村上念美は電話に出た。
「もしもし...」
「村上お嬢様ですか?私は木村陽太の母です...」
村上念美:「...」
聞き覚えのある声、村上念美には馴染みがあった。
久しぶりだ。
実際、帰国したばかりの時は彼らに会いに行きたいと思っていたが、自己の出現が百害あって一利なしになることを恐れていた。
彼らの感情を刺激してしまうとかえって良くない。
「はい、私です。おばさま、こんにちは」
「ええ、時間ありますか?家に来てくれませんか。陽太はいないので、あなたに話したいことがあるんです」
「はい、すぐに伺います」
「では、先に切りますね」
「はい」
木村お母さんの声は相変わらず優雅で上品だった。村上念美は電話を切り、瞳を光らせた。
木村陽太がいない...
彼女の意図は木村陽太に関することを話したいということだろう。
村上念美は口元に淡い笑みを浮かべ、怠ることなく素早く車のキーを取って地下駐車場へと向かった。
...
村上念美は果物と栄養剤を買って木村家を訪問した。
木村家の使用人は多くなく、ほとんどは木村お母さんが退職後に自分で切り盛りしていた。村上念美が贈り物を持って来たのを見て、彼女は口元に淡い笑みを浮かべたが、親しげではなく、むしろ冷淡さが漂っていた。
「外は寒いわ、熱いお茶を入れたから、中に入って飲みましょう」
「ありがとうございます」
村上念美は木村お母さんについてソファに座り、心の底から申し訳なく思った。
家の間取りは3年前とまったく同じだった。あの頃、暇があれば木村陽太の家に遊びに行っていた。
食べたり飲んだり、時には木村陽太に作文を手伝ってもらったり、宿題を写させたりもした。
書くのが本当に面倒だったから。