101 いわゆる禁欲的な男_5

「うん、この頃藤原氏の仕事が多くて...夜は書斎で寝るから、私を待たなくていいよ」

「ふーん...」

村上念美はそれを聞いて頷いた。これは一時的な別居というわけ？

どちらにしても...少なくとも藤原景裕が夜に何か求めてくることを心配しなくていいわ。

そう思うと、村上念美は思わず口元に笑みを浮かべ、少し安堵のため息をついた。

藤原景裕は熱のこもった黒い瞳で目の前の女の子を見つめ、喉仏が少し動いた。

彼女を抱いていたら、自分が欲情してしまうのではないかと心配で仕方なかった。

彼女に触れてはいけない...

藤原景裕はこれまで考えたこともなかった。彼女を愛する方法が、彼女と距離を置くことだとは。

...

夕食後。

藤原景裕が電話をかけてからほどなくして、ドレスが届けられた。

スタッフ一人一人が一着ずつ持ち、列になって並び、全部で十八着が村上念美の前に並べられた。

村上念美は驚いて、藤原景裕を見た。男性の説明を待っているようだった。

藤原景裕は黒い瞳を細め、淡々と言った。「この18着は約200着以上の新作ドレスから選んだものだ...200着も試着すると疲れるだろうから、18着なら大丈夫だと思って」

村上念美：「...」

まあいいか。

村上念美は口元に微笑みを浮かべた。

「でも1着選んだら、残りの17着はどうするの？」

藤原景裕が口を開く前に、傍らの女性店員がすでに熱心に答えた。「藤原奥様、残りの17着はあなたのために大切に保管させていただきます」

「藤原さんの目は確かで、これらはすべて有名デザイナーの作品です...ですから、ドレス自体が価値の上がる可能性を持っています」

村上念美：「...」

価値が上がるという言葉を聞いて、村上念美は安心した。

「じゃあ、試着してみます」

「藤原奥様、お手伝いします」

女性店員はすでに熱心に前に出ていた。

「お願いします」

...

すぐに、村上念美は黒いショートドレスに着替えて出てきた。黒いドレスには真珠が散りばめられ、黒と白のコントラストが非常に上品で落ち着いた印象だった。

村上念美は美しい瞳に暗い光を宿し、鏡の中の装った女性を見て...まるで醜いアヒルの子が白鳥に変身したような気がした。

以前の自分は、ほとんどの場合、自分をぐちゃぐちゃにしていた。