村上念美は少し顔を赤らめた。
「お母さん...何言ってるの。」
「私はね...本当のことを言ってるだけ...」
村上翔偉は木下麻琳が元気になったのを見て、玄関で村上念美と話し込んでいるのを見かね、急いで言った。「もういいから、子供たちが久しぶりに帰ってきたんだから、リビングに案内してあげなさい。」
「わかったわ。」
木下麻琳は村上翔偉の言葉を聞いて、すぐに村上念美と藤原景裕をリビングへと案内した。
リビングに入ると、村上翔偉は使用人にお茶を入れるよう指示し、村上念美と藤原景裕をソファに座らせた。
藤原景裕は単刀直入に切り出した。「お父さん、お母さん...今日来たのは主に週末の村上氏の年次総会に参加していただきたいと思って。」
「正装はすでに手配してあります。土曜日にお届けします。念美と私の正装も決まっています。」
村上翔偉はその言葉を聞いて木下麻琳と視線を交わした。
実際、3年前に村上念美が婚約を破棄して以来、藤原氏の年次総会に村上家は姿を見せていなかった。
他でもない、主に両家の関係が膠着状態だったからだ。
それに、もし村上家が藤原家の年次総会に現れたら、大崎市の他の人々は...おそらく村上家が媚びを売っていると思い、自ら恥をかくことになるだろう。
あるいは、両家が和解したと思われるかもしれない。
実際、当時は藤原家が屈辱を受けたのだ。
もし和解するなら、藤原家の面子も保てないだろう。
だから、要するに、大きな膠着状態だった...
村上翔偉はしばらく躊躇した後、心の中の懸念を口にした。
「景裕、君が私たちを招待することを、藤原家は知っているのかな?私たちとしては、不都合ではないかと心配なんだ。」
藤原景裕は村上翔偉の心配を理解し、薄い唇を引き締めた。
「藤原家と村上家は姻戚関係です。私が招待することは、藤原家も当然知っています...」
藤原景裕の言葉は村上翔偉に安心感を与えた。
木下麻琳は若い二人の関係が前回よりも良くなっているように見え、心の中で喜びが溢れた。
「もういいじゃない、そんなに臆病にならなくても。念美はもう景裕と結婚したんだから、他の人が知るのは避けられないことよ...それに、人生は自分たちのものなんだから、幸せであればそれでいいの。隠す必要なんてないわ。」