103 キス_4

「ほら...藤原家のおじいちゃんおばあちゃんはまだ焦っていないのに、私たち外祖父母が焦る必要なんてないでしょう」

「私はただ彼らが花を咲かせ実を結ぶのを待ち望んでいるのよ。彼らはもう10年以上一緒にいるんだから」

村上念美はその言葉を聞いて美しい瞳を見開いた。そうだ、考えてみれば、自分は小さい頃から藤原景裕と知り合って...こんなに長い間一緒にいたのだ。

村上念美は頬を少し赤らめ、隣で黙っている藤原景裕を見て、勇気を出して小さな手を伸ばし、男性の大きな手を握った。

「お父さん、お母さん...今年はもう年末だから、頑張っても間に合わないと思う。来年は必ず頑張るわ...」

藤原景裕:「...」

藤原景裕は彼女の言葉を聞いて、瞳の色が微かに動いた。

彼女は自分を安心させるために...

以前、自分は彼女が子供を望まないことで大激怒していた。

実際、後になって初めて知ったのだ。

村上念美が望まなかったのは、多くの要因を考慮したからだった。

例えば、彼女が睡眠薬と避妊薬を服用していたこと、また彼女の体調のこともあった。

藤原景裕の心の底には言葉にできない心痛があった...

村上念美の言葉は村上翔偉と木下麻琳の感情を高ぶらせた。

「やっと嬉しいことがあったね...」

村上翔偉が率先して杯を上げると、藤原景裕も急いでグラスを合わせた...

うん、これは義父の機嫌を取ることになるだろう。

...

村上念美は藤原景裕が村上翔偉とお酒を飲む様子を見て、思わず唇の端が上がった。

村上念美が小さく口に入れながら茶碗のスペアリブを食べていると、藤原景裕が手を上げて小さな茶碗を差し出しているのに気づいた。

村上念美は美しい瞳を見開き、茶碗の中が全て魚の身であることを見て、反射的に藤原景裕を見た。

「全部食べなさい」

村上念美:「...」

魚の身...

藤原景裕は丁寧に魚の骨を全て取り除いていた。

実際、村上念美はサンタと同じように魚が好きだったが、面倒くさがりで、魚を食べると骨が喉に刺さることがあった。魚の骨を取るときに注意深くなかったからだ。

藤原景裕がこんなに細やかな心遣いをするとは思わなかった。

実際、3年前もそうだった...

自分が魚を食べるときは彼が骨を取り、エビを食べるときは彼が殻をむいてくれた。