車が南町別荘に着いたとき、藤原景裕は村上念美が熟睡しているのを見て、彼女を起こす気にはなれなかった。
村上念美が目を覚まし、ぼんやりと目を開けたとき、ようやく家に着いていることに気づいた。
「どうして起こしてくれなかったの?」
「気持ちよさそうに眠っていたから。」
藤原景裕はさらりと答えた。まるで何でもないことを言っているかのように。
村上念美はその言葉を聞いて携帯の時間を確認すると、もう11時だということに気づいた...
自分が8時半頃から寝始めたとすると、丸々2時間半も経っていた。
「もう、あなたったら...」
村上念美は急いで姿勢を正し、藤原景裕がまだ先ほどと同じ姿勢でいるのを見て、唇を噛んで言った。「しびれてない?」
「ああ。」
確かにしびれていた...
彼女が2時間半眠っている間、彼は一度も動かず、ただ静かに女性の寝息を聞きながら2時間半を過ごした。