103 キス_5

車が南町別荘に着いたとき、藤原景裕は村上念美が熟睡しているのを見て、彼女を起こす気にはなれなかった。

村上念美が目を覚まし、ぼんやりと目を開けたとき、ようやく家に着いていることに気づいた。

「どうして起こしてくれなかったの?」

「気持ちよさそうに眠っていたから。」

藤原景裕はさらりと答えた。まるで何でもないことを言っているかのように。

村上念美はその言葉を聞いて携帯の時間を確認すると、もう11時だということに気づいた...

自分が8時半頃から寝始めたとすると、丸々2時間半も経っていた。

「もう、あなたったら...」

村上念美は急いで姿勢を正し、藤原景裕がまだ先ほどと同じ姿勢でいるのを見て、唇を噛んで言った。「しびれてない?」

「ああ。」

確かにしびれていた...

彼女が2時間半眠っている間、彼は一度も動かず、ただ静かに女性の寝息を聞きながら2時間半を過ごした。

不快感はなかった...

むしろ、それを楽しんでいた。

なぜなら、このような温かい時間は、彼にとって丸3年間欠けていたものだったから。

村上念美は後悔しきりで、急いで藤原景裕の肩をマッサージし始めた。十分に眠ったせいで、彼女の小さな顔はピンク色に染まっていた。

「少しはよくなった?」

「まだ...よくなってないみたいだ。」

藤原景裕はさらりと言った...小さな手が自分の肩で忙しく動いている様子を見て、ただ心地よく感じていた。

村上念美は何度も藤原景裕の肩をもみ続け、男性の口角が上がっているのを見て、自分が藤原景裕にからかわれていることに気づいた...

「もう...わざとでしょ?」

「ああ...」

藤原景裕は口角を少し上げ、村上念美が手を引こうとするのを見て、彼女の小さな手を掴み、唇に運んでキスをした。

村上念美は男性の親密な仕草に、少し驚いた様子だった。

「少し後悔している...あの時、なぜお前を探しに行かなかったのか...ただ愚かにもその場で待っていただけだった。」

村上念美:「...」

藤原景裕の言葉は非常に沈んでいて、村上念美はそれを聞いて心が複雑な気持ちになった。

村上念美は男性の黒い瞳をじっと見つめ、唇を噛んで言った。「その場で私を待っていた?」