「でも...まだ寒いみたい、どうしたら寒くなくなるか知ってる?」
村上念美は潤んだ大きな瞳をパチパチとさせた。まるで天の星のようで、藤原景裕はただ一目見ただけで、心が陥落したように感じた。
「ん?」
この小娘がまた何か企んでいるとわかっていながらも、藤原景裕は思わず魅了されてしまった。
「簡単よ...こうすれば...」
そう言うと、村上念美は自ら小さな手を伸ばして藤原景裕の首に腕を回し、つま先立ちになって男性の薄い唇にキスをした。
二人の唇は冷たかったが、恋人同士の化学反応のように、すぐに熱く、燃えるように変わっていった。
村上念美は少年の黒い瞳が一瞬驚いたのを見たが、彼が自分を押しのけなかったことに満足して、唇の端を上げ、ゆっくりと美しい瞳を閉じた。
雪の中、人々が行き交う。
格子柄の傘の下の二人は特に美しく見え、一つに溶け合っていた...
ただ村上念美が予想していなかったのは、男性が木の人形のように動かなかったことだった。最後には、つま先立ちの姿勢があまりにも体力を消耗するので、仕方なく村上念美は男性の唇から離れた。
「景裕兄さん、私のキスの技術はどう?」
「さっきは舌を入れなかったみたい?もう一度やる?」
藤原景裕:「...」
村上念美への返事は、少年の初々しい顔に不自然に浮かぶ赤みだった。
「村上念美!」
少年の怒鳴り声とともに、村上念美は小さな手を伸ばして少年の端正な顔に触れ、それから自分の赤くなった頬にも触れた。熱かった。
「私、変なことしてないよ...本当に体温が上がって、寒くなくなったでしょ。」
藤原景裕:「...」
...
回想が突然終わり、車内は一瞬静まり返った。村上念美は自分と藤原景裕が二人とも思い出に浸っていることを知っていた。
村上念美は少し得意げだった...結局、今時、自分のように積極的な女の子はあまりにも少なかったから。
人それぞれの性格があり、受け身な人もいれば、積極的な人もいる...
それに好きなら口づけするのは、何も間違っていない。
村上念美は何も間違っているとは思わなかった。好きなのに隠したり、抑えたりするほうが、もったいないことだ。
藤原景裕は小娘の輝く美しい瞳を見て、淡々と口を開いた:「違う...」