司会者はさっきまで口先だけで調子に乗っていたが、この瞬間、藤原景裕の前では、やはり生意気な真似はできなかった。
藤原景裕は淡々と頷き、その後薄い唇を引き締めた。
「本日は、皆様に藤原氏の今年度の全ての成功をご報告するだけでなく、藤原氏の経営陣の変動に関する事項もお知らせしたいと思います。」
藤原景裕の言葉は淡々としていたが、発した言葉は力強かった。
まるで静かな湖面に石を投げ入れたように、皆は非常に驚き、互いに顔を見合わせて囁き合った。
経営陣の変動...これは大事だ。
村上念美はその言葉を聞いて美しい瞳を見開き、内心ドキドキした...
この藤原家で藤原景裕は一人息子だ。もし経営陣の変動があるとすれば、経営権は藤原陽か熊谷紗奈に移るだろう。
お爺さまも年を取った...
絶対に熊谷紗奈に渡してはいけない。
そう思うと、村上念美の美しい瞳は少し暗くなった。
...
村上念美は視線の端で遠くにいる熊谷紗奈と藤原陽を見た。二人の表情はあまり良くなく、彼らも驚いているようだった。
うん...まあまあだ。
村上念美はほっと息をついた...
おそらく二人とは関係ないようだ。そうでなければ、藤原景裕の性格からして必ず事前に知らせていたはずだ。
...
藤原景裕は淡々と客席の人々を見下ろし、ゆっくりと続けた。「実は...藤原氏の法人代表は私ではありません。」
この言葉が出ると、会場は再び騒然となった。
村上念美:「...」
え?
じゃあ誰...
夫...もし法人代表でないなら、お金がないってこと?
そう思うと、村上念美の心はドキッとしたが...その後は特に気にならなかった。
結局は藤原景裕の決断だ。藤原景裕のどんな決断にも彼自身の判断がある。
それに、藤原景裕の能力があれば、村上氏のような崩壊寸前の会社でも、絶対に逆転できるはずだ。
...
「今、藤原氏の真の舵取り、つまり法人代表は...私の妻です。」
村上念美:「...」
男の声は低く磁性を帯びていた。村上念美はその言葉を聞いて顔色が真っ白になった。
何...
自分のこと?
村上念美はゴクリと唾を飲み込んだ...自分が聞き間違えたのではないかと思った。
藤原景裕の言葉が投げかけられ、人々は顔を寄せ合い、藤原景裕が藤原氏の舵取りではないことに驚いた。