「うん、おじさん、おばさん、お話してて。私は友達に会いに行くから。」
「いいよ、木村陽太、行っておいで。」
村上翔偉は急いで頷いて、木村陽太が去った後、思わず村上念美に向かって口を開いた。「実はね、もしあの時お前が木村陽太と一緒になっていたら...」
「お父さん、過去のことは言わないで、ね?」
木下麻琳もうなずいた。
「そうね、今さら言っても仕方ないわ。誰のせいで娘が藤原景裕に惚れて、自分から追いかけたのよ?この木村陽太は、私は早くから念美のことを好きだったって見抜いていたわ。ただこの子は言わなかった...性格が穏やかだから。」
「もういいよ...過去のことは過ぎたことだから。お父さん、お母さん、三年前のことは、木村陽太兄さんとは関係ないの。彼に偏見を持たないで。この数年間、彼は私にとても大きな助けになってくれたから。」
村上念美は木村陽太の名誉を守り、村上翔偉と木下麻琳はそれを聞いて頷いた。
「うん、わかったよ。」
...
パーティーは夜8時に正式に幕を開けた。
村上念美は藤原氏の年次総会に参加した人々を簡単に見渡した...やはり、それぞれが重要人物だった。
どうやら...安藤家の人が来ているようだが、安藤萱子は姿を見せていないようだ。
藤原大旦那様、景山大旦那様、熊谷徹朗は上座に座っていた...
村上翔偉と木下麻琳の席も非常に前方に配置されていた。村上念美は自分の席を探し回って...やっと気づいた...自分は村上翔偉と木下麻琳と一緒ではないことに。
会場の照明はすでに暗くなり、光はステージ上に集中していた。
暗闇の中、村上念美は男性の大きな手が自分の手を握るのを感じ、その後、自分は男性に導かれて前に進んでいった。
村上念美は美しい瞳を見開いたが、抵抗はしなかった。馴染みのある香りが藤原景裕だと教えてくれた。
藤原景裕は村上念美をステージの前方に連れて行き、村上念美はようやく自分の席が藤原景裕の隣に配置されていることに気づいた。
村上念美は唇を噛んだ。この時、皆の注目はステージ上に集中していたので、ステージ下の自分と藤原景裕の動きには気づいていなかった。
実際...会場の照明が全て明るくなったら、自分の存在が露わになるのではないか?
村上念美はこのことを考えると、どうしても不安になった。
...
「お腹いっぱい?」