「うん...それならいいわ。」
...
村上念美は木下麻琳と村上翔偉の感情を落ち着かせた後、村上翔偉に木下麻琳を連れて警察署を先に出るよう促した。
結局、ここに長く留まれば、木下麻琳の感情に影響が出るのは避けられない。
村上念美は村上翔偉が木下麻琳を支えながら去っていく後ろ姿を見つめ、瞳が暗くなった。
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木下麻琳は取調室を出るとすぐに口を開いた。「熊谷紗奈に会いに行きたいわ。なぜこんなことをしたのか聞きたいの。」
「うん。」
村上翔偉は木下警官を見つけ、面会できるかどうか尋ねた。
木下警官は少し躊躇した後、藤原景裕に通知し、藤原景裕の許可を得てから、村上翔偉と木下麻琳の面会を手配した。
熊谷大旦那様と藤原大旦那様たちも一緒に面会に向かった。
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木下麻琳と村上翔偉の表情は良くなかった。藤原大旦那様たちをちらりと見ただけで、いい顔色を見せず、その後拘留室に入った。
藤原大旦那様は村上家が怒っていることを知っていた...
この心の結び目は、一朝一夕では解けないだろう。
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「あなたたち...私が誰だか知ってるの?早く私を出して...」
「熊谷徹朗は私の父よ...彼は前市長なのよ。」
「藤原大旦那様は私の義父よ。」
「私の母は教授よ。」
「私の夫は軍区の高官よ。」
「全部あの小娘が嘘をついてるの...彼女がでたらめを言ってるのよ、あなたたち本当に信じたの?」
一行が拘留室に入ると、熊谷紗奈のけたたましい叫び声が聞こえてきた。次々と叫んでいたが、誰も相手にしていなかった。
「藤原家の人に会いたいわ、熊谷家の人々にも会いたい...早く警察署長を呼んできなさい。」
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藤原大旦那様はそれを聞いて眉をひそめた。この熊谷紗奈は本当に改心する気がないようだ。
熊谷徹朗と渡辺愛美は元々心配していたが、今はむしろ恨鉄不成鋼の思いだった。
木下麻琳と村上翔偉は熊谷紗奈の口から出た「小娘」という言葉に、完全に目が冷たくなった。
この熊谷紗奈は、事態がここまで発展しているのに、まだ狂ったふりをして、全く悔い改めていない。
もう十分だ。
木下麻琳の瞳は怒りでいっぱいになり、自ら前に進み、椅子に固定されている熊谷紗奈を見つめ、突然手を上げて熊谷紗奈の顔を何度も強く平手打ちした。
パンパンパン...