123 再び罠を仕掛ける:DNA検査_3

熊谷紗奈:「...」

心美という二文字に、熊谷紗奈の顔色が一気に青ざめた。

木下麻琳は紗奈の異変に気づかず、ただ彼女の体が強張っているのを感じただけだった。

「ただ...ただあの老夫婦の年齢を考えてあげてください。」

「そんなはずがない!」

「私...私は心美なんて人、全然知らないわ。あなたが嘘をついている、大げさに言っているだけよ。」

木下麻琳:「...」

なぜか、熊谷紗奈のこの言葉を聞いて、麻琳は直感的に女が嘘をついていると感じた。

彼女は絶対に知っているはずだ。

女の声が異常に震えていることからして、ただ助けたくないだけなのだろう。

人の心というのは本当に腹の中では分からないものだ。他人の実の父母の家に長い間居座っておきながら、今になって助けようともしない。まったく改心する気がないのだ。

「ふん。」

木下麻琳は頷いた。これ以上話しても無駄だ。

熊谷徹朗と渡辺愛美の老夫婦が可哀想だと思って、手助けしようとしたのに。

誰が知ったことか、この熊谷紗奈は何を言っても聞く耳を持たない。

...

木下麻琳と村上翔偉が病室を出るとすぐ、熊谷紗奈は怒りが収まらず、すぐそばのテーブルの上の手当たり次第のものをすべて床に押し落とした。

「そんなはずがない...彼らが真実を知るはずがない、絶対にそうだわ。」

「出て行け...みんな出て行きなさい...見ているだけでイライラする。」

医療スタッフは口元をゆがめた。この女性に二日間も仕えて、本当に嫌になっていた。

警察官も同様に頭を悩ませていた。この厄介者は死に際になっても素直に白状しようとしない。本当に図々しく、人を嫌な気持ちにさせる。

医療スタッフは目の前の老女を不機嫌そうに一瞥した。素直にしないなら、隔離して鎮静剤を注射するしかないだろう。

...

村上翔偉は木下麻琳に付き添って警察署へ直行した。

村上念美は比較的自由に行動できた。警察署を離れず、捜査に協力する限り、問題なかった。

朝、藤原景裕が一緒に朝食を食べた後、彼は仕事に行き、念美は花壇のベンチに座って日光浴をしていた。人が花よりも美しい光景だった。

天気はまだ寒かったが、冬の暖かい日差しは人を温かく包んでいた。