救急室の外:
大きな恐怖の後に大きな喜びとは何か、木下麻琳はようやくそれを実感した。
さっきまで恐怖で魂が抜けたようだったのに。
今は...計り知れない喜びに浸って抜け出せない。
まだ信じられないけれど。
まさか...熊谷徹朗と渡辺愛美が自分の実の両親だったなんて。
以前は、彼らに対して少し不満を持っていた。
結局、熊谷紗奈のことについて、彼らは甘やかして守り、村上念美を傷つけていたのだから。
なんて皮肉なことだろう。
彼らが必死に守っていたのは実の娘ではなく、守る過程で実の娘と孫娘を傷つけていたのだ。
...
木下警官の言葉を聞いて、渡辺愛美は震える手で熊谷徹朗の腕をつかみ、喜びと信じられない気持ちで声を震わせて言った:「熊谷、私、聞き間違えてない?今、木下警官は何て言ったの?」