バーのダンスフロアにて:
よく考えてみると、相馬紗奈は何年も風邪をひいていないことに気づいた...
うん、普段から非常に規則正しい生活を送っているため、発熱などというのは自分にとっては現実味のないことだった。
しかし、今は鼻づまりがあり、頭がくらくらして、さらにお酒も飲んだため、相馬紗奈は体の内側が燃えるように熱く、ひどく不快に感じていた。
そのため立っているだけでも力が入らず、小さな手を伸ばして景山瑞樹の首に腕を回すしかなかった。
そうすることで少し楽になれる。さもなければ...簡単に目の前が真っ暗になって倒れてしまいそうだった。
うーん...実際...自分からスキンシップを取るつもりはなかったのだ。
「おや、顔が赤くなってるじゃない...」
相馬紗奈は細い目を細めて、とても妖艶で魅力的に、景山瑞樹の耳が赤くなっているのを見て、小さな手を伸ばして男の耳たぶをつまみ、軽く笑いながら言った。
「景山様、あなたのその様子、まるで純情な童貞みたい...知ってる?」
景山瑞樹:「...」
くそっ!
からかわれた。
それも少し酔った女性にからかわれたのだ。
景山瑞樹は黒い瞳を細め、目の前の魅惑的な女性を見つめ、瞳の奥に危険な光が走った。
「誰が俺を童貞だって言った?ん?」
こんな面目丸つぶれのことを、景山瑞樹がいい加減に認めるわけがない。
相馬紗奈:「...」
うーん、明らかに独身だわ。
今、女性が少し近づいただけで顔を赤らめ心拍数が上がるなんて、童貞じゃなくて何なの?
まあいいか。
相馬紗奈は男が少し怒っている様子を見て、先に口を開いた:「OK、ごめんなさい、酔って言葉を間違えたわ。この仕事をしていると、つい核心を突いてしまうの。実際、そんなに正直であるべきじゃないわね!たとえ事実でも、人前で言うべきじゃなかった。」
言い終わると、相馬紗奈の口角に浮かんだ虹よりも鮮やかな笑みが、景山瑞樹をさらに腹立たせた。
景山瑞樹:「...」
くそっ!
相馬紗奈がこんなことを言わなければまだよかった。
彼女が今言ったことで、景山瑞樹は女を絞め殺したい気分になった。
女の整った小さな顔が自分の目の前で大きく見え、媚びるような目つきで見つめてくる。景山瑞樹は軽く鼻を鳴らした。