二人が絡み合っている様子は、見ていると心がむずむずして、思わず唾を飲み込んでしまう。
相馬紗奈は気取ったところも小さなことにこだわるところもなく、群衆に向かって腕を振った。
「今夜のお酒は...全部私の隣のイケメンのおごりよ、だから皆さん...思いっきり楽しんで。」
「美女とイケメンに感謝!」
「今日はスポンサーに出会ったな。」
「ラッキーだね、ハハハ。」
相馬紗奈の一言で、群衆の中から歓声が次々と上がり、すぐに沸騰した。
ただ景山瑞樹だけが、ひどく不機嫌な顔をしていた。
まさか、相馬紗奈がこんなに遊び慣れているとは。
このくらいのお酒代を気にしているわけではない。
ただ景山瑞樹には、ずっと相馬紗奈というクイーンのような女性に鼻を引っ張られているような感覚があった。
景山瑞樹は女性の体がわずかに揺れているのを見て、すぐに手を上げて女性の細い腰に置き、相馬紗奈を抱き寄せ、眉をひそめて言った:「紗奈、遠慮なしだな。」
「そうよ...実は私がおごりたかったけど、このお金が惜しくて。」
ここまで言うと、相馬紗奈は情けない様子で小声でつぶやいた:「あなたは私よりずっとずっとずっとお金持ちだし、おごるなんて面目が立つことだから、私があなたから奪うわけにはいかないでしょう、景山様?」
一言「景山様」と、甘えた声で呼ばれ、景山瑞樹は骨まで蕩けそうになった。
景山瑞樹は見下ろすように、目の前で唇を上げ、明るく微笑む女性を見て、唇の端をつまんだ。
ふん...
まさに豚を装って虎を食らう。
とにかく、強くても弱くても怖くない相手だ。
この女性は、厄介で、対処が難しい...
...
「さあ...ダンスが終わったら、続けて飲みましょう。」
相馬紗奈は景山瑞樹が言葉に詰まる様子を満足げに見て、その後男性の手を引いてバーカウンターの前に座り、バーテンダーに向かって唇を上げた。
「イケメン、私たちにベラドンナをもう2本お願い。」バーテンダーはそれを聞いて完全に呆然としていた。
目の前の女性と男性はまだ意識がはっきりしている...
普通なら、あれだけのウイスキーを飲んだ上に、高濃度のベラドンナをさらに一杯飲んだら、もう耐えられないはずだ、完全に意識を失うレベルだ。
しかしこの二人は何事もなかったかのようだ。