可愛くて思いやりがある...
...
「笹木さん、文音はもう一度採血が必要ですが、今よろしいでしょうか?」
看護師が入ってきて、笹木愉伊に丁寧に声をかけた...
この集中治療室で笹木愉伊と文音はまる一ヶ月過ごしていた。ほとんどの時間、文音の世話をしていたのは笹木愉伊一人だった。
どれほどの重圧も彼女一人で背負っていたため、医療スタッフは皆、笹木愉伊に敬意を抱いていた。
「はい、大丈夫です」
笹木愉伊はうなずき、小さな手を握りしめ、唇を噛みながら言った。「あの...朝にもう何本か採血したんですが、まだ足りないんですか?」
「そうなんです。今は大量の血液採取と検査が必要なんです」
笹木愉伊:「...」
その一言で、笹木愉伊は黙り込んでしまった。
村上念美もすぐに立ち上がり、看護師のためにスペースを空けた。