青木朝音が彼女を引き止めなければ、後藤雪夜はきっと制御を失って相手を殴り殺していただろう。手に持った鉄パイプはすでに鮮血で赤く染まり、後藤雪夜の体や頬にも血が飛び散り、恐ろしく凶暴な姿に見えた。
青木朝音はようやく信じた。この娘が後に変態殺人鬼になるということを。
確かに...素質がある。
「もういい」
青木朝音は彼女の手から血染めの鉄パイプを奪い取ったが、地面に捨てるのではなく、証拠を隠滅するために持ち帰るつもりだった。
そして後藤雪夜の頭を優しく撫でながら、まだ地面に伏せたまま恐怖で呆然としている土屋萱と数人の女子を指さした。
「行って彼女たちをぶん殴りなさい。彼女たちが以前あなたをいじめたように、同じようにやり返すのよ」
臆病さと恐怖をほぼ克服した後藤雪夜は、この時まるで生まれ変わったかのように別人になり、心も体も完全に変化し、全身が光を放っているようだった。