第95章 皆が青木朝音を覗きに来る

Aクラス。

学校で最も優秀なクラスで、ほとんどが優等生たち。これまでは勉強に励む声だけが聞こえていたが、今日は違った。みんなイヤホンをつけ、音楽の海に溺れていた。

青木愛茉と厳谷君彦も例外ではなかった。二人ともピアノが好きだったので、ピアノパートに集中していた。前者の表情はどんどん険しくなり、柔らかい唇を噛みつぶしそうになっていたが、後者の表情はますます夢中になっていった。

最初の授業が終わると、青木愛茉は軽快な様子を装って厳谷君彦に尋ねた。「君彦、北川信望の新曲聴いた?あのピアノパートどう思う?」

彼女はもちろん気づいていた。あのピアノパートは、前回青木朝音が長谷進司に売ろうとしていた曲ではないか。

まさか北川信望が本当にあの曲を買って、発表するとすぐに大ヒットするとは思わなかった。