第94章 北川和蒼は母上様を盗み見に行く

権州第一高校。

青木朝音が校内に入ると、ほとんどすべての女子生徒がイヤホンをつけていることに気づいた。おそらく音楽を聴いているのだろう。みんな興奮して顔を赤らめ、聴けば聴くほど熱くなっていく。ある生徒が言った。「すごい、私の推しの新曲、めちゃくちゃ良い!」

「『終末日』って曲、歌の部分もピアノの部分も傑作よね。本当に素晴らしすぎる!」

「特にピアノの部分、もう何回もリピートして聴いてる。誓って言うけど、こんなに夢中になったことないわ。今まで聴いたどんなピアノ曲よりも素晴らしいわ」

「ピアノ曲はAsaって人が作曲したって聞いたんだけど、すごい才能の持ち主ね。誰なのか本当に気になる」

「うんうん、私の推しも言ってたけど、Asaはすごい才能のある天才クリエイターで、しかも女性らしいわ。残念ながら本名は明かしたくないみたいだけど」