権州第一高校。
青木朝音が校内に入ると、ほとんどすべての女子生徒がイヤホンをつけていることに気づいた。おそらく音楽を聴いているのだろう。みんな興奮して顔を赤らめ、聴けば聴くほど熱くなっていく。ある生徒が言った。「すごい、私の推しの新曲、めちゃくちゃ良い!」
「『終末日』って曲、歌の部分もピアノの部分も傑作よね。本当に素晴らしすぎる!」
「特にピアノの部分、もう何回もリピートして聴いてる。誓って言うけど、こんなに夢中になったことないわ。今まで聴いたどんなピアノ曲よりも素晴らしいわ」
「ピアノ曲はAsaって人が作曲したって聞いたんだけど、すごい才能の持ち主ね。誰なのか本当に気になる」
「うんうん、私の推しも言ってたけど、Asaはすごい才能のある天才クリエイターで、しかも女性らしいわ。残念ながら本名は明かしたくないみたいだけど」
……
それを聞いて、青木朝音はようやく理解した。北川信望の『終末日』が昨夜正式にリリースされたのだ。まだ宣伝も始まっていないのに、すでにネット上で大ヒットしていた!
間違いなく、今のトレンド1位はこの曲に関連するものだろう。すぐに音楽界全体を席巻するはずだ!
教室に入ると、ほとんど全員がこの曲について話し合っていた。後藤雪夜もスマホを持ち、イヤホンをつけて音楽を聴き、うっとりとした表情を浮かべていた。
北川麟兎も同様だった。さすがは自分の三番目の兄の新曲、十分に堪能しなければならない。ただし、彼はピアノパートだけを聴いていた。
三番目の兄から聞いていたからだ。ピアノパートは母上様が作曲したものだと。神のみぞ知る、彼が初めて聴いたときどれほど興奮したかを。
今では10回以上聴いているが、まだ興奮が収まらない。
青木朝音が来るのを見て、北川麟兎はすぐに星の目で、興奮と崇拝の眼差しで彼女を見つめ、そそくさと宿題帳を取り出し、両手で差し出した。「宿題全部終わったよ、チェックしてくれる?」
「ありがとう」
青木朝音は宿題帳を受け取り、さっと机の上に置き、それからゆっくりとバックパックを取り外して机の穴に押し込んだ。
後藤雪夜はすぐに近づいてきて、とても興奮した様子で言った。「朝音さん、北川信望の新曲聴いた?超いいよ」
青木朝音は冷静な表情で答えた。「聴いたよ」
その一方で——