古川松陰は自分のケチな過去を清算するために、本気で大金を使い、前回と同じレストランを貸し切るという太っ腹な行動に出た。
つまり、この時点で、広々としたレストランには古川松陰と青木朝音の二人の客しかおらず、テーブルいっぱいに並べられた料理はもう置き場がなくなりそうで、脇の食事台にも料理が山積みになっていた。
青木朝音は少し呆れた様子で言った。「こんなに頼まなくても、食べきれないわ」
「食べきれなければ残せばいい。好きなものを選んで」古川松陰は手際よくステーキを切り分けながら、切り終えた皿を朝音の前に差し出した。
「後で私に払わせるつもりじゃないでしょうね?」
青木朝音は冗談めかして尋ねたが、実際にはケチ様に対する印象がかなり変わっていた。彼が細やかな気配りをする人だということにも気づき、ずっと自分のためにステーキやフォアグラを切り分けてくれていた。
古川松陰の手の動きが一瞬止まり、漆黒の瞳で彼女を見つめ、セクシーな薄い唇が魅惑的な笑みを浮かべた。「このレストランはもうすぐ君のものになるかもしれないよ。自分で考えてみたら?」
「え?」青木朝音は困惑した表情を浮かべた。
古川松陰は人を惹きつける笑みを浮かべ、「このレストランを買い取って、君の名前を入れようと思っている。これからは君がこのレストランのオーナーだ」
青木朝音:「……」
本当に頭がおかしくなったんじゃないだろうか?
「感動した?」古川松陰はナイフとフォークを置き、期待に満ちた眼差しで彼女を見つめた。
青木朝音は便秘顔で、「驚いたというほうが正確ね」
さらに付け加えた。「あなたが本気かどうかは別として、このレストランはいらないわ」
古川松陰は少しがっかりした。女の子にプレゼントをすれば、感動して涙を流すんじゃなかったのか?もしかしたら自分から抱きついてくるかもしれないと思ったのに。
しかしよく考えれば、青木朝音は普通の女の子ではない。当然、彼女は特別なはずだ。
「わかった、まずは食事を楽しもう」
古川松陰も無理強いはしなかった。いずれ彼女は自分の魅力に負けて、喜んでプレゼントを受け取るだろう。そうすれば自然な流れで彼女の小さな手に触れることもできるはずだ。
テーブルいっぱいの料理を見て、青木朝音は袖をまくり上げ、思い切り食べることにした。どうせ食べないと損だから。