第106章 忘憂の匂い袋

その頃、天上の間クラブにて。

ビリヤードルームのドアが突然、誰かに蹴り開けられた。長身の影が全身に纏った怒りのオーラとともに、まるで激怒したライオンのように部屋に飛び込んできた。

「くそったれ!てめえこのクソ野郎!」と大声で罵った。

そう言いながら、何も考えずに拳を振り上げて殴りかかろうとした。腕の血管が浮き出るほど怒り狂っていたが、相手のボディガードにすぐに阻止された。

「おや、誰かと思えば、倫慶坊ちゃんじゃないか?」

宮北一馬はソファに悠々と足を組んで座り、赤ワインを片手に優雅に味わっていた。狐のような目は狡猾で邪悪な光を放っていた。

彼は来訪者を見て、傲慢に笑った。「君が雇ったビリヤードの名手が痔で大出血して半身不随になったって?ふん、来月の試合は俺の勝ちだな」