第116章 アサガオ登場、棋局を解く(6)

青木朝音が振り向いて、数人のお爺様方を見つめてから、頷いた。彼女はわざと声色を変え、少しセクシーな掠れ声で言った。「はい、そうです」

肯定の返事を得て、数人のお爺様方と場にいた人々は一斉に息を呑んだ。まさかアサガオが本当にいるとは?

しかも若い娘だと?

そんなことがあり得るのか!

特に青木のお爺様は、また人生を疑いかけるところだった。

ただ青木のお爺様が不思議に思ったのは...あのシルエットがどこか見覚えがあるような気がすることだった。

しかし、自分の大切な孫娘のことだとは思いもしなかった。彼の目には、愛する孫娘の実力など知れたものだったからだ。

人々はすぐに納得した。彼女が相手の棋局を簡単に破ることができたのも当然だ。彼女こそが今ネット上で神がかり的な棋の達人として噂されているアサガオだったのだから。

しかし最初、皆は彼女を疑い、嘲笑し、さらには力ずくで追い出そうとさえした。今思えば恥ずかしくて顔向けできない。

「彼女がアサガオだったのか?俺さっきあんなこと言ったのに...くそっ」その人は言いながら、自分の頬を平手打ちした。

「アサガオは達人レベルの老人だと思っていたのに、まさか高校生だったとは?ハハハ、ロシア人たちは今頃顔向けできないだろうな。彼らの自慢の棋局が高校生に破られたんだから、人生を疑うレベルだろ?」

まだ棋局の傍に立っていた真田千晴は、目を見開いて呆然と盤面を見つめていた。棋局がこうも簡単に破られるとは信じられず、同時に心の中では先に自分が解かなくて良かったと安堵していた。もし彼女が先に解いていたら、恥をかくところだったからだ。

彼女の考え方は青木朝音とは全く違っていた。もし彼女が先に解いていたら、別の場所に黒石を置いていただろう。一見解けたように見えても実際には解けておらず、相手は白石を一つ置くだけで彼女を包囲殲滅できただろう。

真田千晴は心を落ち着かせると、顔に薄く笑みを浮かべ、青木朝音を見て言った。「私たちが同じことを考えていたなんて驚きです。私も左下の角がまさに生門だと思っていました」

この言葉の意味は、もし青木朝音が先に解かなければ、この棋局を解いたのは自分、真田千晴だったということだ。

青木朝音は意地悪そうに眉を上げ、皮肉めいた笑みを浮かべた。「それなら真田お嬢様の棋の腕前もなかなかですね」