この言葉を聞いて、唐田悦子と長谷真理はまず驚き、そして言葉にできないほどの喜びが押し寄せてきた。二人は同時に口の動きで互いに言った。「AsaってまさかAsa?」
そして電話をかけてきた人の声を聞くと……青木愛茉のようだった。
これを見ると、Asaは十中八九、青木朝音に違いない。
トイレにも行かずに、二人は興奮して走り出した。
その後、青木愛茉が個室から出てきて、口角が上がり、目には成功した笑みが浮かんでいた。
彼女が言った通り、青木朝音のような無能は彼女には敵わない!
これで、青木朝音のあの賤人は名誉を失墜し、北川信望のファンたちに集団で攻撃されるだろう。
その光景を想像するだけで、青木愛茉は興奮して震えた。
……
昼休みの時間を利用して、唐田悦子と長谷真理はそれぞれサブアカウントを作り、学校の掲示板やフォーラムで「AsaはAsa」というニュースを必死に広めた。
さらに、「Asa」というこの二文字は確かに青木朝音の名前の略であり、ほとんどの人が信じた。そして事件が徐々に発酵するにつれて、信じなかった人たちも信じ始め、半日もたたないうちに、ほぼ学校中が知ることとなった。
青木朝音はこれまで無能、落第生、バカ、男好きなどといった蔑称で知られていた。そんな人物が、世間を驚かせるようなピアノ曲を作れるはずがない。
言うまでもなく、彼女は山田茜の作品を盗作したに違いない!
それなのに、恥知らずにも盗作した曲を北川信望に売り、北川信望に責任を負わせた。本当に死罪に値する!
こんな人間は、地獄に落ちるべきだ!
学校中のファンの怒りが完全に爆発し、次々と青木朝音を攻撃するためにチームを組んだ。しかし午後になると、青木朝音は授業をサボって学校に来ていないようで、彼女たちはどこを探しても見つけられず、仕方なく青木愛茉に尋ねに行った。
青木愛茉も焦っていた。人々の溜飲を下げる場面が見られると思っていたのに、青木朝音は授業をサボったのだ!
今となっては、あの賤人は罪を恐れて逃亡し、後ろめたさを感じているに違いない!
知らなかったが、青木朝音が授業をサボったのは、北川蒼涼のビリヤードの試合を手伝うと約束していたからだった。この時、彼女はすでに到着しており、北川蒼涼と北川倫慶が直接車で学校まで迎えに来ていた。