北川兄弟三人の顔には驚きと喜びの色が浮かんだ。もともとは母上が勝てるとは思っていなかったが、今や一気に緊張し始め、チャンスがあるように感じていた。
北川和蒼は、先ほどの青木朝音の開球と、今のカラーボールの位置を思い返していた。まさに神業としか言いようがなく、思わず息を呑んだ!
彼は思わず片手を握りしめていた。まさか母上がビリヤードをするだけでなく、達人中の達人だったとは。あのいわゆるビリヤードクイーンは人生を疑うほど負けるだろう。
案の定、宮本黛璃の顔色が変わった。まるで騙されたような気分で、この田舎者は豚を装った虎なのではないかと思った。
たとえ盲目の猫が死にかけたネズミに出くわしたとしても、ラインを完全に封じることなどできるはずがない。
しかも彼女のキューの構え方や狙い方は、世界チャンピオンに劣らないものだった!