第205章 北川麟兎は今日とても強気

「説明する必要はない。君たちの間のことには興味がない」厳谷君彦は冷たく言った。

青木愛茉は唇を噛み、弱々しく尋ねた。「あなたも姉のことが好きになったの?」

厳谷君彦は眉をひそめ、足を止め、鋭い目で彼女を見つめ、軽蔑して冷笑した。「ピアノ曲を作れるから?ビリヤードができるから?だから彼女を好きになるべきだと?」

言い終わると、目には相変わらず一瞬の嫌悪感が浮かんだ。ただ、以前ほど強くはなかった。

結局、成績が最下位の人間は、彼の好意に値しないのだ。

青木愛茉は厳谷君彦が青木朝音のビリヤードの腕前まで知っていることに驚いた。ネット上ではあまり報道されておらず、知っている人は少ないはずだった。特別に注目していない限り。

しかし幸いなことに、彼女は厳谷君彦の目に一瞬浮かんだ嫌悪感を捉えた。彼がまだ青木朝音を嫌っているという証拠だ。それで青木愛茉はやや安心した。