時間は飛ぶように過ぎ、あっという間に月末となり、月明かりが星を薄くする夜、8時、オークションは時間通りに始まった。
今回のオークションの主催者は、井上家という謎めいた家族だと言われている。このような大規模なオークションは、誰でも入れるわけではなく、招待状を持っていなければならない。
そしてこの招待状にも格式があり、金、銀、銅の3つのレベルに分かれており、各大家族の身分を表している。
権州の四大家族のような一流の家は当然金色の招待状だが、二流三流の家族は銀色や銅色の招待状しか手に入らない。
北川蒼涼と北川和蒼、そして北川倫慶も来ており、全員がスーツを着こなし、格好良さが際立っていた。銀色の招待状のため、中央の席にしか座れなかった。
真田家の人々ももちろん来ていた。来ていたのは真田千晴と真田雨美で、彼女たちは金色の招待状を持ち、最前列に座った。
他の大家族も次々と集まり、すぐに会場はほぼ満席となった。
青木勇太もこのオークションの噂を聞いていたが、本来は来るつもりはなかった。しかし、どういうわけか、彼らの青木家のような三流の小さな家族は、理屈からすれば銅色の招待状を受け取るはずだったのに、なぜか金色の招待状になっていた。
主催者側の間違いではないかと疑い、電話で問い合わせたところ、先方は間違いではなく、今年の青木家は金色の招待状だと言った。
結果を知った青木家の人々は、皆、思いがけない光栄に驚いた。
青木勇太は招待状を青木朝音に渡し、彼女と青木愛茉に顔を出させようと思った。もし本当に気に入ったものがあれば、価格が妥当であれば落札してもいいと考えていたが、青木朝音の電話はつながらなかった。
青木勇太は会社が忙しく、自ら行くつもりはなかったので、仕方なく招待状を青木愛茉と深井蓉悠に渡し、彼女たちに行かせることにした。
青木愛茉は金色の招待状を手に、初めて頭を高く上げて歩き、母娘は得意げな様子だった。
オークション会場に無事入場し、最前列の席に座ることができた。
真田雨美が最初に不満を示し、真田千晴の袖を引っ張って、「お姉さん、あの人たち青木家の人じゃない?どうして私たちと同じ最前列に座っているの?」と言った。