第330章　魔王あさね、壇上で演説、正体バレ現場（3）

古川松陰はまだ完全に目覚めていなかったが、「彼氏」と「抱きしめて」という重要な言葉をはっきりと捉えた。一瞬驚いた後、すぐにベッドから飛び起き、電話に応えながら言った：

「待っていて、すぐ行くから」

誰か教えてくれないか、こんな夜中に何の良い日なんだ？

サプライズは突然やってきて、防ぎようがない。

電話を切ると、古川松陰は鏡の前に走り、最速で身なりを整えた。出かける前に少し男性用の香水を身体にスプレーしたが、結果は…

青木朝音が彼を抱きしめたとき、少し刺激的な香水の匂いを嗅ぎ、気分が更に悪くなった。彼を強く押しのけ、反論の余地のない口調で：

「誰が香水をつけろって言ったの？返品！」

古川松陰：「……」

彼は慌てて言い訳した：「ちょっと待って」

さっと走って戻り、最速でシャワーを浴び、パジャマに着替えた。今回はボディソープさえ使わなかった。青木朝音は彼本来の匂いが好きなのかもしれないと思ったからだ。

全て終わってもう一度ドアをノックしに行ったとき、青木朝音はすでに眠っていた。

ドアをしばらくノックしても誰も開けなかった。

風の中で震える古川松陰：「……」

失策だ、失策！

なぜ香水をつけたんだ？

くそっ！

最終的に怒りの矛先は全て古川木に向けられた。香水は古川木が買ったもので、その犬野郎が質の悪い香水を買ったからだ。

そのため、寝ていても巻き込まれた古川木は、夜中に主人からの連続コールで目を覚まされ、悲惨な様子で鶏の巣のような髪をかき乱しながら、「どうしたんですか、ご主人様？」

「お前！今月の給料は諦めろ！」

そう言うと、古川松陰は怒り心頭で電話を切った。

古川木は哀れに携帯に向かって叫んだ：「やめてください、ご主人様！毎日食べているのは偽物のバッテリーで、すでに十分悲惨なのに！給料まで引かれたら、飢え死にしてしまいます！」

しかし、どれだけ叫んでも訴えても、電話の向こうからは返事がなかった。すでに切れていたからだ。

ああ、彼はロボットなのになぜこんなに不幸なのか？

なぜこんな仕打ちを受けなければならないのか？

古川木は悲しそうに自分を抱きしめた。泣きたい気分だった。