第329章　魔王あさね、壇上で演説、正体バレ現場（2）

「全科目満点」という言葉を聞いた時、青木勇太の頭は一瞬混乱し、すぐに軽く笑い出した。「冗談が上手くなったな」

「信じるか信じないかはあなた次第」

青木朝音はこれで本当に苛立ち、青木勇太の返事を待たずに電話を切った。

古川松陰はタイミングよく機嫌を取り、手を伸ばして彼女の頭を撫でた。「お父さんと電話してたの？」

「うん」

青木朝音は淡々とした表情で答え、元々悪くなかった気分が何故か少し焦りに変わった。椅子の背もたれに寄りかかり、虚ろな目で前方を見つめながら、思考は小さい頃へと飛んでいった……

あの頃、母親はまだ生きていて、家族は幸せに暮らしていた。特に青木勇太は彼女をとても可愛がっていた。しかし母親が交通事故で亡くなってから、青木勇太の性格は変わり始めた。彼は短気で荒々しくなり、タバコを吸い、酒に溺れるようになった。

青木朝音は理解していた。父親が母親を深く愛していたがゆえに、喪失の痛みに耐えられなかったのだと。しかし数年も経たないうちに、青木勇太は連れ子を抱えた深井蓉悠を家に迎え入れた。

正直なところ、青木朝音はそれを少し受け入れられなかった。

もし深井蓉悠が良妻賢母タイプの女性だったならまだ良かったが、彼女は腹黒く陰険な女だった。さらに青木愛茉もまた扱いにくい人間だった。

彼女は青木勇太が目が見えなくなったのではないかと疑うほどだった。よくもあんな女を家に迎え入れたものだ。

はぁ、彼女はもう宮廷ドラマのような家庭内の争いはごめんだった。家を出て住むことで目に入らなければ気にならない。しかしそれは、彼女があの腹黒い母娘を恐れているということではなく、単に彼女らと関わりたくないだけだった。

しかし彼女らがさらに悪さを続け、彼女を挑発するなら、容赦しないつもりだった。

彼女、青木朝音院にも怒りはあるのだ！

一方、電話が切られたことに気づいた青木勇太は、無力感を感じながらため息をついた。今や彼はあの生意気な娘にどうすることもできなかった。

しかし頭の中では、娘が言った「全科目満点一位」という言葉が響いていた……

彼は娘の性格を知っていた。彼女は感情に任せて嘘をついて彼を喜ばせるような子ではない。ということは、本当なのか？