よく見ると、なんということだ、その銃は夜川舟賀の手に握られていた。そして彼はかっこよくくるりと回転し、力強い腕でその警官の首を締め付け、銃口を彼のこめかみに向けた。
「はぁ、銃も握れないなんて、どうやって警官になったんだ?警察はすごいって言われてるけど、全然役立たずじゃないか」
夜川舟賀は若気の至りで恐れを知らず、警官を人質にとることさえ平気で、むしろ得意げに、少し間抜けながらも可愛らしく警官たちに向かって眉を上げた。
竜野佳宝は言葉もなく額に手を当て、内心で彼に親指を立てた。このバカ、本当にすごいな。元々は社会秩序を乱す軽犯罪だったのに、今や逮捕拒否どころか警察官を人質にとるなんて、罪状はかなり重くなるぞ。
「何をしている?!銃を下ろせ!」
警官たちは驚いて、一斉に銃口を夜川舟賀に向け、厳しい声で威嚇した。まるで一言でも従わなければその場で射殺する構えだった。
「師姉、早くこっちに来て、僕の後ろに」
夜川舟賀は心配そうに竜野佳宝を見て言い、そして目を鋭くして、冷酷な視線を周囲に向けた。「下がれ!さもないとこいつを撃ち殺すぞ!」
竜野佳宝は目を回した:「……」朕はこのバカと一緒にいたくない!
「師姉、早く来てよ、怖がらないで。僕がいるから、守ってあげるから」
彼女が動かないのを見て、夜川舟賀はもう一度促した。
守ってくれるって、冗談じゃない!
竜野佳宝は内心で罵り、仕方なく思い切って立ち上がり、正義感あふれる様子で警察に言った:「お巡りさん、このバカ、朕は知りません。早く捕まえてください!」
夜川舟賀は傷ついた表情で、泣きそうになり、「師姉、何言ってるの?僕のこと、一番可愛くてかっこいい魅力的な弟子だって言ったじゃない?」
竜野佳宝は口をとがらせた。それは朕が言ったことではなく、この体の元の持ち主が言ったことだ。無意識に口をついて出た。「バカで変わり者で精神異常の弟子のことでしょ?」
夜川舟賀はすぐに笑顔になり、その笑顔は間抜けで愚かだった。「師姉、冗談はやめて、早く来て」
もういい、狂うなら狂おう!
竜野佳宝は再び歯を食いしばり、素早く一言だけ言った。「車を用意する」
そして彼女は素早くパトカーに向かって走り、運転席に飛び込み、手慣れた様子で車を始動させ、窓越しに夜川舟賀に手を振った。「早く乗って!」
「今行く!」