「いいえ、おとなしく座っていなさい。」
青木朝音は彼が怪我をしていることを心配していなければ、今頃彼を止めることはなかっただろう。
その強引な口調に反論の余地はなく、古川松陰は再び素直に言うことを聞いて座った。
今日はとても嬉しくて、花火を打ち上げてお祝いしたい気分だった。
そこで、古川松陰は急いで携帯を取り出し、古川木に電話をかけた。完全な社長モードで命令した。「街中の花火を全部手配しろ。今すぐ打ち上げろ。」
電話を切って携帯を脇に投げると、今は街中に花火が次々と咲き誇るのを待つだけだ。妻がそれを見て喜んでくれることを願っている。
その後、何かを思いついたようで、再び携帯を手に取った。今度は電話ではなく、古川木にメッセージを送った。彼の口元がこっそりと笑みを浮かべた。
ちょうど彼らが食事を終えた後に停電になれば、外に出て花火を鑑賞できる。考えただけでロマンチックだ。
古川松陰は興奮した気持ちで食卓に着き、妻が手作りした美味しい料理を心から楽しんでいた。顔には隠しきれない幸せが溢れていた。
青木朝音は彼を見て、笑いながら言った。「やっぱりあなたのその調子に乗った様子が愛らしいわ。」
そう言いながら、スペアリブを一切れ彼の茶碗に入れた。「たくさん食べなさい。」
古川松陰は恐縮した。これは妻が初めて自分から彼に料理を取り分けてくれたのだ。急いでそのスペアリブを一口で口に入れた。肉だけで骨がなく、爆発的に美味しかった。
「あなたもたくさん食べて。」
古川松陰も彼女に次々と料理を取り分けた。見ていると本当に仲の良いカップルのようだった。
食事の後、古川松陰は自ら進んで食器を片付けて洗おうとしたが、青木朝音は再び社長のような態度で断固として言った。「そのままにしておきなさい。今日はあなたが洗う必要はないわ。」
古川・従順な妻・松陰:「わかったよ。」
今日は妻の言うことを全て聞こう。彼女の言うことが全てだ。
どうせ、もうすぐ停電になるから、洗えなくなるだろうし。
案の定、言葉が終わるや否や、部屋は突然暗くなった。本当に停電したのだ。
「何が起きたの?なぜ突然停電したの?」