第367章 青木朝音が追われた

青木朝音は体に刺した鍼がほぼ十分だと見て、最後に北川信望の喉の部分にさらに数本の鍼を刺した。これにより毒素がより早く散るようにするためだ。

20分も経たないうちに、北川信望は驚きと喜びを感じながら、自分の声が戻ってきたことに気づいた。声は以前のように澄んでいて清らかで、さらに少し掠れた感じが加わり、より魅力的に聞こえるようになった。

「女神様、今回は本当にありがとうございます。あなたの医術は本当に素晴らしいです」

北川信望は目に涙を浮かべながら言った。心の中では、こんなに凄い母上様を持っていることが、彼の誇りだと感じていた。

そして彼はすでに決めていた。母上様のために一曲書こう、『私の誇り』というタイトルで。母上様が気に入ってくれることを願っていた。

青木朝音は笑いながら彼の肩を軽く叩き、言い聞かせた。「しっかり歌いなさい。コンサートが終わったら、ごちそうを作ってあげるわ」

「はい」

「ごちそう」という言葉を聞いて、北川信望の顔には即座に歓喜の表情が浮かび、力強くうなずいた。

そのとき、ドアが開き、彼が本当に無事だと確認した北川蒼涼たち兄弟は喜びの笑顔を見せ、青木朝音を見る目は崇拝と熱い感謝に満ちていた。

母上様の医術は本当に神がかっている。三弟を治すと言ったら、本当に治してしまうなんて。

北川信望が再びステージに戻ると、皆も貴賓席に戻った。今やファンたちの感情は先ほどよりもさらに高まり、喜びの涙の声が絶えることなく響いていた。

「もし奇跡に色があるなら、それは間違いなく青だ!」

「もし信仰に色があるなら、それも間違いなく青だ!」

ほぼ会場全体のファンが立ち上がり、一斉に叫び声を上げ、心を震わせた。

後藤雪夜や北川麟兎、そして北川倫慶も皆と同じように、急いで立ち上がり、声が枯れそうになるまで大声で叫んだ。

ファンたちにとって、その「青」とは北川信望を指していたが、兄弟たちにとっては、青い奇跡と青い信仰は母上様である青木朝音を指していた。

北川信望はステージに立ち、まず各方向に座っているファンたちに一人一人お辞儀をし、それから先ほど毒を盛られた後の自分の心境を語った。もう二度とファンのために歌えないと思ったが、まさか今この瞬間もここに立ち続けられるとは。