「行くわよ」
真田千晴は青木朝音が明日トークンを取り返すと言った言葉を完全に無視した。彼女は本当に青木朝音にその能力があるとは信じておらず、すぐに撤収を命じた。
Aグループの6人は全員軽蔑の表情を浮かべ、大げさに歩いて去っていった。
「大丈夫?」
青木朝音は彼らの傷を一瞥した。朱里玉枝以外は全員怪我をしていた。
「私は大丈夫だけど、彼の腕が切られてるから手当てが必要だわ」
深井鷹行も顔を殴られて青あざだらけだったが、幸い大事なところは無事だった。口元の血を拭いながら、目に怒りの色を隠さず、隣の厳谷君彦を指さして言った。
「大丈夫だ」
厳谷君彦は傷口を押さえながら強がって首を振った。相変わらず冷たく近寄りがたい態度だった。
「みんな、焚き火を作って。後で野鶏を焼いて食べるから」
青木朝音はそう言いながら、蓮の葉に包んだ三羽の野鶏を地面に置き、そして振り返ることなく歩き去った。
「どこに行くの?」深井鷹行が尋ねた。
「薬草を採りに行くわ。彼の傷には薬を塗らないとね」
青木朝音は振り返ることなく森の奥へと歩いていった。後藤雪夜は彼女について行こうとしたが、青木朝音に止められ、他のみんなと一緒にいるよう言われた。
厳谷君彦はさっと顔を上げ、青木朝音が消えた方向をぼんやりと見つめた。心の中で彼女の安全を心配し、無事であることを願うばかりだった。
「女神様が一人で大丈夫かな?」北川麟兎も心配でたまらなかった。
「大丈夫だろう。彼女の戦闘能力はかなり高いはずだ。さっきの小石の一撃は正確で威力も十分だった。俺にもできないほどだ」
深井鷹行は先ほど青木朝音に助けられたことに感謝していた。彼女がいなければ、今頃大事なところが無事ではなかっただろう。さらに、前回地下格闘場で彼女にアドバイスをもらったこともあり、青木朝音の戦闘能力がかなり高いことは間違いないと推測した。
「そうだった!女神様は詠春拳と太極ができるんだ。すごいんだよ!」
北川麟兎も前回竜野家での出来事を思い出した。青木朝音が相手の木人椿陣法を破ったとき、母上様は本当にかっこよかった。今思えば、母上様の戦闘能力は計り知れないほど高く、超絶的に強いのだ!
そう考えると、もはやそれほど心配する必要はなくなった。