第46章 見える場所(6)

四年経っても、彼はまだ勇気も度胸もなく、あの夜彼女が言った言葉を真剣に、改めて完全に噛みしめることができなかった。

しかしそれでも、彼はあの夜の記憶を思い出すたびに、心に鋭い痛みが走るのを明確に感じていた。

知っていますか?

過ぎ去った歳月の中で、私はかつて深く、深く一人の人を愛していました。

彼女が知らないとき、私はそっと、そっと彼女の側に寄り添っていました。

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おそらく髙橋綾人の家で少し長く眠ったせいで、午後に寮に戻ってからまた横になって眠ってしまったため、森川記憶は翌朝、まだ夜明け前に目を覚ました。

起きて寮の他の人を起こすのを恐れ、ベッドに横たわったまま、スマホを見て、Weiboを開いた。記憶はまだ前の人気ニュースを見る前に、後ろの一つのニュースが視線を引いた:「橋本文新監督の新作映画キャスティングオーディションが正式に開始」。

森川記憶はスマホを握る指先に、思わず力が入った。彼女の脳裏には、この四年間で経験したことが自然と浮かんできた。

……

四年前、髙橋綾人のせいで、彼女は名古屋から京都に戻る時間を大幅に早めた。それも災い転じて福となり、京都に到着した日に、空港でスカウトに出会った。

最初は詐欺師だと思っていたが、一週間後、スカウトから本当に電話があり、オーディションに来るよう招待された。

大学入試後の夏休みは、もともと何もすることがなく、さらに彼女は演技が好きで、大学の志望校も映画大学だったので、当時の彼女は何の躊躇もなく、電話でその場で承諾した。

オーディション終了後、記憶は家に帰り、翌日撮影チームから電話があり、監督に気に入られ、映画「萬千の風華」の女性第二主役を演じることになったと告げられた。

そして大学一年生の前期の最初の一ヶ月は、撮影現場で過ごした。

「萬千の風華」は11月に全国公開され、有名監督、一流スターの男性主役と女性主役のおかげで、この映画はすぐに全国で大ヒットした。

もちろん、予想外だったのは、女性第二主役を演じた彼女も同様に全国で人気を博したことだった。

芸能界で十年に一人の美貌の持ち主だと言う人もいれば、生まれながらの演技派で、一挙手一投足すべてが演技だという人もいた。さらには、芸能界の次の影后(女優賞受賞者)と伝説は森川記憶だという人もいた。