エレベーターに乗り込むと、髙橋綾人は後ろにまだ乗ろうとしている人がいるのもお構いなしに、すぐに閉じるボタンを押した。
エレベーターが地下駐車場に到着し、ドアが半開きになるやいなや、彼は中から出てきた。
彼はおそらくWeChatグループで見たいくつかの動画に頭が沸騰していたのだろう。駐車場を何周も回ったが自分の車が見つからず、最後に車のキーを取り出してロック解除ボタンを押すと、遠くからライトが点滅するのが見え、車がエレベーターの真正面に停まっていることに気づいた。
車に乗り込むと、髙橋綾人はシートベルトさえ締めずに、アクセルを一気に踏み込み、「ゴールデングローリー」地下駐車場から飛び出した。
動画に映っていた場所は、彼がよく知っている場所だった。何度も訪れたことのある「悦園」だ。