第117章 私がこんなことをする価値もない (7)

森川記憶が考えていると、後ろの二人の女の子の会話が聞こえてきた。

「なるほどね、橋本監督のような経験豊かな監督が、どうしてこんなに若い監督を副監督に選んだのかと思ったら、副監督には大きな背景があったのね!」

「それだけじゃないわ!言っても信じないかもしれないけど、私たちの副監督はまだ大学に通っていて、卒業してないのよ!」

これを聞いた森川記憶は、表情にはあまり変化を見せなかったが、心の中では大きく驚いていた。

彼女はずっと、あんなに深い内容の「邂逅」を撮影できる人は、きっと人生経験が豊かな人で、少なくともある程度の年齢だと思っていた。まさか天才少年だったとは……

森川記憶が考え事をしている最中、休憩室のドアからスタッフの声が突然聞こえてきた。「皆さん、準備をしてください。すぐに撮影が始まります!」