第224章 私の愛する人は、私の愛人ではない(4)

「そうなんだよね、彼女の嫉妬心がこんなに強いなんて思わなかった。森川記憶が『王城』の役を受けたと知って、彼女が撮影現場に行けないように、廃校の校舎に閉じ込めたなんて」

「この話は朝日陽子が自分の目で見たと言わなければ、信じられなかったよ。これってドラマの中だけの展開だと思ってたのに、まさか現実で実際に起こるなんて。それに陽子の話によると、その日、監督科の髙橋綾人が林田雅子に記憶ちゃんをどこに閉じ込めたか白状させるために、彼女を窓から突き落としそうになったらしいよ。当時、彼らの寮の扉は開いていて、多くの人が見ていたから、林田雅子の面子は丸つぶれだよね。きっと心の中で記憶ちゃんを恨んでるに違いない!」

「それに森川記憶はもう『三千の狂い』の女二号を演じることが決まってるから、あの人たちと一緒に食事をするのも当然だよ。林田雅子は記憶ちゃんをそんなに嫌っているから、SNSで言ってたことは全く信憑性がないよ。おそらく意図的な中傷だろうね」