第225章 私の愛する人は、私の愛人ではない(5)

林田雅子のこの件……まさか髙橋綾人が助けてくれたの?

彼が彼女を助けたことがないわけではない、例えば林田正益の件では、でもあの時は、余光さんのために彼女を助けたのだった。でも今回彼女が遭遇したトラブルは、余光さんは全く知らないし、それに彼自身も、彼女を不潔な女の子だと思っていたのに……

林田雅子がSNSに投稿した言葉は、明らかに彼の見解と非常に近かった。だから、なぜ彼女を助けたのだろう?

山崎絵里と山田薄荷は森川記憶の微妙な仕草に気づかず、二人は傍らに立ち、まだ「髙橋綾人」の話題を中心に一言一言会話を続けていた。

山崎絵里は言った:「高橋先輩は記憶ちゃんにとても優しいね……」

「本当に優しいよね、私は本気で疑っているよ、高橋先輩が最初に林田雅子と友達になったのは、もしかして記憶ちゃんのためだったんじゃないかって?」山田薄荷は推測した。

「どうして疑う必要が……」山崎絵里は本能的に山田薄荷の言葉を受けた。彼女はたった四文字だけ言って、そこで止まった。彼女は以前、髙橋綾人が彼女に助けを求めて毎日森川記憶の日常を教えてほしいと言った時、秘密にするよう言われたことを思い出した。彼女は残りの「疑うの、明らかに」という言葉をぐっと飲み込み、強引に言い直した:「……そんなに考える必要ないよ、とにかく林田雅子はもう過去のことだし、今彼女は学校を辞めたから、これからは記憶ちゃんに迷惑をかけることもないでしょう。」

山崎絵里の話し方の異変に気づかなかった山田薄荷は、山崎絵里の言うことがもっともだと思い、頷きながら言葉を継いだ:「同感!」

山崎絵里と山田薄荷はハイタッチをし、その後、山崎絵里は何かを思い出したように、頭を回して森川記憶を見た。彼女は少しの間彼女を見つめ、結局我慢できずに、長い間ずっと気になっていて、いつも聞きたかった質問を口にした:「記憶ちゃん、高橋先輩のことをどう思う?」

森川記憶は山崎絵里の質問を聞いて、急いで心の中の感情を押し殺した。

さっきまで彼女は自分の心配事を考えていたので、山崎絵里の質問を全く聞いていなかった。彼女はまぶたを上げ、山崎絵里の方を見ながら、ついでに「ん?」と声を出した。