第209章 あなたに会う身分(9)

林田雅子のところでは、あんな面倒なことが起きたにもかかわらず、森川記憶はこの一眠りをとても深く安らかに眠り、自然に目覚めたときには、すでに昼近くの11時になっていた。

彼女は布団をめくり、起き上がって最初にしたことは、自分の足首を確認することだった。足首の赤みと腫れは、薬の効果で大分引いていた。

彼女は試しに床に降りて二、三歩歩いてみたが、まだ少し痛みがあったものの、昨夜よりはずっと良くなっていた。

どうやら、昨夜来た整形外科医が言った通り、ホテルで一日休めば、明日には普通に歩けるようになりそうだった。

森川記憶はまずバスルームで歯を磨き洗顔し、出てきてからベッドで携帯を探し、画面を点けると、「髙橋余光」からの二つのメッセージが見えた。

一つは丁寧な「大丈夫です」というもの、もう一つは「おやすみ」というものだった。