森川記憶は体内の不快感を必死に我慢しながら、山崎絵里の隣の椅子を静かに引いて座った。
クラス委員長は全員揃ったのを確認すると、すぐにウェイターを呼んで注文した。
今夜の食事客が多すぎたため、料理が遅いだけでなく、食器も遅れて届いた。
森川記憶の背後は大きな個室のドアに面しており、すべての食器が彼女の横に置かれていた。彼女と山崎絵里が食器を配っている時、ふと顔を上げると、正面に座っている髙橋綾人の姿が目に入った。
男性は窓際の席に座り、椅子をテーブルに対して横向きにして、口にタバコをくわえ、窓の外を見つめていた。
彼は機嫌が悪そうで、表情は沈んでいたが、それでも彼の身に纏う気品は隠せなかった。
彼がライターを持ち上げてタバコに火をつけると、揺れる炎が彼の顔を照らし、もともと完璧な彼の顔立ちをさらに驚くほど美しく引き立てた。