濃い怒りがまだ体内に残っていたところに、新たな苛立ちと後悔が彼を襲いかかった。
体内に積もった複雑な感情に、髙橋綾人は対処のしようがなく、唇を引き締め、森川記憶をにらみつけた後、突然彼女の手を離し、力強くドアを開け、大股で立ち去った。
ドアが強く閉められ、室内は一瞬にして静まり返った。
森川記憶は壁にもたれかかり、しばらくじっと立っていた後、腰の痛みをこらえながら、ゆっくりとベッドに戻って座った。
森川記憶は自分がどれくらいの間ぼんやりと座っていたのか、また心の中で何を考えていたのかわからなかった。とにかく思考は乱れていた。ようやく心が落ち着いてきて、トイレに行こうと立ち上がった時、目の隅にウォーターバーの上の袋が目に入った。
それは髙橋綾人が持ってきたものだった……