第330章 コーラちゃんは誰?(10)

コーラちゃん?

この三文字が森川記憶の耳に入った瞬間、彼女の最初の反応は笑いたくなることだった。その後、この三文字がどこかで聞いたことがあるような気がして、少し馴染みがあるように感じた。

「あの頃、綾人さんはコーラちゃんを見つけるために、名古屋第一高校を大騒ぎにしたんだよ...」

ここまで聞いて、森川記憶はなぜ先ほど「コーラちゃん」という言葉に馴染みを感じたのかを急に思い出した。

彼女は髙橋綾人に会う前から、祖母の家でも、髙橋家でも、学校でも、ほぼ毎日彼の名前を耳にしていた。

彼に関する噂は、女子の間では人気男性芸能人に匹敵するほど多かった。

もちろん、最も多かったのは彼の浮名だった。

今日はみんなが彼にラブレターを渡した女子について話し合い、明日はどの女子が彼と一緒に校門を出たかについて、明後日はどの女子が彼とネットカフェで並んでゲームをしていたかについて...

しかし、彼に関する最も大きな話題は「コーラちゃんを探せ」だった。

その事件は学校中を騒がせ、学校のほぼすべての場所で「コーラちゃんを探せ」というチラシが貼られていた。女子トイレの壁にまで貼られていた。授業後の校内放送でも、繰り返し「コーラちゃんを探せ」という人探しのお知らせが流れ、学校の掲示板も「コーラちゃんを探せ」というタイトルで埋め尽くされていた。

その期間、学校では男子も女子も、門番のおじさんも食堂のおばさんも、みんなが「コーラちゃん」が誰なのか気になっていた。

祖母から髙橋綾人との距離を保つよう警告されていた彼女でさえ、授業中に隣の席の子と髙橋綾人が探している「コーラちゃん」が誰なのかをこっそり話し合ったことがあった。

残念ながら、その事件はどんどん大きくなり、最終的に学校の指導者の耳に入り、髙橋綾人たちはトイレ掃除の罰を受けることになった。「コーラちゃんを探せ」事件はこうして中途半端に終わり、彼女が卒業するまで、「コーラちゃんは誰か」は名古屋第一高校の十大未解決ミステリーの第一位のままだった。

彼女が髙橋綾人と本当に親しくなった頃には、「コーラちゃんを探せ」事件はすでに2年前のことだった。当時の彼女はこの一時期を騒がせた大事件をすっかり忘れていた。今日デブが突然それを持ち出すまで、彼女はこの過去の出来事を思い出したのだった...