第367章 一千本の修正液(7)

顔に漂う強烈な酒の匂いに、髙橋綾人は眉間を少しひそめた。そして彼の視線はテーブルに移った。

5、6本の空のワイングラス、3分の1ほどしか残っていない大きなウイスキーボトル...まさか、これ全部彼女一人で飲んだのではないだろうか?

まだ森川記憶の状態を確認していない田中白が近づいてきた。「高橋社長、森川さんは大丈...」

「夫ですか?」この二言は、田中白が口にする前に、髙橋綾人から投げかけられた冷たい視線に怯んで声が途切れた。

「彼女を見ていてくれと頼んだのに、どうやって見ていたんだ?どうして彼女にこんなに酒を飲ませた?!」

田中白は髙橋綾人に怒鳴られて身震いし、思わず一歩後ずさりした。そして森川記憶の方を見た。

やはり、女の子の目はすでにうつろになっており、明らかに酔っぱらっていた...彼はちょっとお腹の調子が悪くて、トイレに長く居ただけなのに、出てきたら状況が一変していた...