第387章 綿菓子はなぜお酒の味がするの(7)

ちょうど洪水の季節にあたり、南部地方では雨が降り続いていた。午前10時の便を予約していたが、菅生知海は空港のVIPラウンジで午後1時になっても離陸の知らせを受けていなかった。

撮影終了パーティーは夜7時に予約されており、残り時間はわずか6時間。菅生知海は心の中で時間を見積もり、このまま空港で具体的な時間も分からないまま待ち続けると、パーティーに間に合わないかもしれないと考えた。

菅生知海はしばらく考えた後、運転手に車の準備を指示する一方で、秘書に新幹線の予約をさせた。

空港から新幹線駅までの距離はやや遠く、おそらく多くのフライトが待機していたため、多くの人が飛行機から新幹線に切り替え、道路も渋滞していた。菅生知海が新幹線駅に到着したときには、すでに午後3時だった。

3時15分、菅生知海は新幹線に乗った。

一日のほとんどを空港で無駄にし、まだ処理すべき仕事が多くあった。菅生知海はパソコンを取り出し、忙しく作業を始めた。

仕事を終えると、車窓の外はすでに暗くなっていた。時計を見ると、すでに7時30分。撮影終了パーティーは始まっていたが、彼が東京に到着するまでにはまだ約2時間かかる。

9時30分、列車は定刻通りに到着し、ドアが開いた。菅生知海は駅を出るとすぐに東京支部が手配した運転手を見つけた。

車に乗り込むと、運転手が行き先を尋ねる前に、彼は先に声を出した。「スターライトへ直行して。」

菅生知海は自分が到着する前にパーティーが終わってしまうことを恐れ、道中ずっと運転手に「早く、もっと早く」と急かしながら、頻繁に時間を確認していた。

10時、車はスターライトのロビー入口に到着した。菅生知海は運転手に「荷物を先に1002号室に届けておいて」と言い残し、ドアマンの丁寧な挨拶を無視して回転ドアを通り、エレベーターへと直行した。

2階に出ると、菅生知海はフォーマルな服装をした多くの人々が次々とパーティー会場から出てくるのを目にした。

彼女は...もう帰ってしまったのだろうか?

菅生知海は無意識のうちに足を速め、「すみません、通してください」と口にしながら、急ぎ足で逆流する人々の間を縫ってパーティー会場に入った。

会場はがらんとしており、数十人のスタッフ以外にはほとんど人がいなかった。