第403章 森川記憶、話し合おう(3)

スマートフォンの画面が明るくなり、森川記憶はロック解除コードを入力し、ホーム画面に入った後、約10秒ほど静かに待っていると、SMSやWeChatの通知音が一斉に鳴り始めた。

しばらく待つと、ようやく携帯が静かになった。記憶はまずSMSを開き、「10086」から送られてきた数百件の不在着信通知を確認した。

記憶は指先でスクロールしながら、ざっと目を通した。大半は髙橋綾人からのものだったが、他にも山崎絵里、山田薄荷、田中白からの着信もあった。佐藤未来さえも彼女に電話をかけていた。記憶は彼女が何か用事があるのかどうかわからなかったが、少し考えた後、気持ちが落ち着いてから折り返そうと思い、そのままスクロールを続けた。先ほど見たSMSの内容と同様、髙橋綾人からの不在着信通知が長く続き、その間に発信元不明の固定電話や、いくつかの業務連絡のSMSが混ざっていた。

「10086」のSMSを閉じると、他の番号からのSMSもあった。

最初に目に入ったのは「髙橋綾人」からのもので、開いてみると30〜40件ほどあった。

「記憶ちゃん、どこにいるの?」

「記憶ちゃん、昨夜のことで電源を切ったの?」

「記憶ちゃん、ごめん、僕が取り乱したのは認める」

「記憶ちゃん、電源入れたなら、メッセージ見たら返事してくれない?」

「記憶ちゃん、連絡して、会って、ちゃんと話し合おう……」

「記憶ちゃん……」

最後まで読んだとき、記憶は胸がひどく詰まる感じがした。彼女は長いメッセージの列に対して、髙橋綾人に返信せず、上の戻るボタンを押して直接退出した。

他のSMSにもざっと目を通したが、どれも彼女に電話をかけた人からのもので、内容はほとんど彼女がどこにいるかということに関するものだった。それ以外にはローンや不動産販売などの迷惑メールもあった。

記憶は誰のSMSにも返信せず、バックグラウンドからSMSを閉じ、WeChatを探して開いた。

WeChatの未読メッセージの一番上にあったのは、山崎絵里からのものだった。

記憶はそのまま開いて、彼女が送ってきた一連の音声メッセージを見た。

記憶はイヤホンを探し、耳に差してから再生した。

「記憶ちゃん、どこに行ったの?撮影が終わったら京都に戻るって言ってたじゃない?いつ戻ってくるの?私と薄荷で空港まで迎えに行くよ」