第392章 目覚めた翌日(2)

森川記憶は悔しそうに手を上げて、自分の頭を軽く叩いた後、男性の美しい顎のラインに沿って視線を上へと移していった。

流れるような輪郭線、完璧な唇の形、高い鼻筋、繊細な眉…見覚えのある顔立ちが一つ一つ森川記憶の目に入るにつれ、彼女の体は大きく震えた。

丸々10秒が経ち、ようやく彼女の視線は彼の腕に沿ってゆっくりと手首へと移動した。

そこに結ばれた赤い紐が、鮮明に目に刺さった。

彼女は…彼女は、昨夜、またもや、髙橋綾人と、ベッドを共にしてしまったのだ…

この言葉が一字一句、森川記憶の心に落ちていくと、彼女は急に髙橋綾人から視線を引き離した。

どうして彼女はまた髙橋綾人と関係を持ってしまったのか?

森川記憶は必死に頭をひねって長い間考えたが、昨夜何が起きたのかを思い出せないまま、心の中だけが先に不安になっていった。