メッセージを送信した後、髙橋綾人はしばらく考えてから、追加で一言書き加えた。「明後日の夜、大丈夫ですか?」
おそらく彼女がメッセージを送ってから彼が返信するまでの時間があまりにも長かったせいか、約10分後、彼は画面に彼女の返事を見た。「はい、余光さん、明後日お会いしましょう。」
髙橋綾人の今の気持ちでは、いつものように髙橋余光として森川記憶とおしゃべりするのは適切ではなかった。彼は素早く画面を二度タップし、会話を簡潔に終わらせた。「マンマン、他に用事があるんだ。もう遅いから、早く休んで。明後日会おう、おやすみ。」
「おやすみなさい。」
すぐに森川記憶からの返信が来た。髙橋綾人はスマホを握りしめたまま、窓の外を見つめた。
彼はまだ彼女を愛していた。不器用ながらも熱烈に、何も持っていないのに全てを捧げるほどに。