第432章 彼を見に来ませんか?(2)

田中白の頭の中で考えがまとまらないうちに、手のひらの携帯が震えた。彼が振り向くと、長い間待っていた森川記憶からの返信だった。

「結構です。他にも忙しいことがあるので、夏目医師に彼のことをよく看てもらってください」

彼は、高橋社長が森川さんのことをとても気にかけているので、二人の間にどんな不愉快なことがあったとしても、森川さんが来て高橋社長に会えば、高橋社長はきっと少し喜ぶだろうと思っていた。しかし、森川さんが彼の申し出を断るとは思わなかった……

田中白は画面に何か言葉を打って、森川記憶を説得しようとしたが、指先が画面に触れたとき、何を言えばいいのか分からず、また止まってしまった。

夜更けのマンションは、とても静かだった。

どれくらい時間が経ったか分からないが、田中白は寝室のベッドから、また非常に小さな声が聞こえてきた。夢の中の寝言のようだった。「僕は本当に彼女を愛している、愛している、愛している……」