第433章 彼を見に来ませんか?(3)

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「ある種の愛は、一生に一度だけ。あなたが来たこと、私は知っている。私があなたを愛していること、私ははっきりと分かっている。」——葉山夜子『神様を懐に引き入れる』

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翌日は月曜日、森川記憶は朝早く起きて学校へ行き、授業生活を続けた。

六月に入った京都は、日に日に暑くなり、太陽の光も日ごとに明るく輝いていた。

気づかないうちに、森川記憶があの夜に田中白から電話を受けてから、静かに三週間が過ぎていた。

この三週間の間、髙橋余光との離婚手続きの時に二回連絡を取った以外、髙橋綾人にしても髙橋余光にしても、彼女は二人とまったく接点を持たなかった。

『三千の狂い』の撮影のために、彼女は三ヶ月の時間を費やし、多くの授業を落としていた。期末試験が迫る中、森川記憶は毎日のほとんどの時間を自習室で復習するか、図書館で資料を探すかして過ごしていた。